委託型募集人の適正化に向けて

長年グレーゾーンとして黙認されてきた委託型募集人による保険販売。
いま保険会社に求められているのは、募集体制の適正化。

はじめに・・・

2014年1月16日、保険業界に激震が走ります。

委託型募集人の新聞記事 金融庁より保険会社に対し「保険募集に係る再委託の禁止」、いわゆる委託型募集人(使用人)の適正化を求める要請がありました。
平成12年の規制緩和により、保険代理店との雇用要件が見直され、以来代理店の営業職員だけでなく業務委託契約により第三者(委託型募集人)が販売する、 アウトソーシングの活用が拡がりました。それから十数年、時代の変遷に伴い保険商品も増え、代理店が大型化するなど発展した一方で、商品知識のない募集人 が販売したり、顧客にとって不利になる保険商品が販売されたり、保険会社・代理店の教育・指導管理が行き届かず、本来守られるべき「顧客の保護」が難しく なってきました。そんな中、今回「委託型募集人による保険販売は保険業法により禁止されている再委託にあたる」とメスが入ったのです。
2015年3月末までに新たな募集体制へ移行する(適正化を行う)等の措置を行い、その結果を報告するよう求める要請が当局よりされております。

金融庁より問題を指摘された形態

図1 金融庁より問題を指摘された形態

長年グレーゾーンとして黙認されていましたが、今回保険業法で禁止されている「再委託」と判断されました。

適正化とは?
金融庁が今回問題にしたのは、行政庁として再委託先への報告徴求や立ち入り検査権限の規定がなされておらず実態が把握できない点、教育・監督・指 導が適切に取られていない体制での保険販売が顧客の不利益を招く恐れがある点、などにあったのではないかと思われます。そこで、それらの問題を解決すべく 新たな募集体制として以下の3つの形態を挙げています。
①「雇用」「派遣」「出向」といった勤務形態にする
②当人が個人代理店になる
③新たな法人代理店を設立し、その役員または使用人とする
(このほか三者間スキーム等の方法もあります)
廃業を考えず適正化を実施していこうとするのであれば、上記のいずれかの方法で早急に整備しなくてはなりません。期限までもう1年を切っているのです。

雇用する(代理店側の適正化アプローチ)
金融庁が考える適正化の状態「雇用」

図2 金融庁が考える適正化の状態「雇用」

会社の適正な管理下に置くことで教育・監督・指導が行き届き、使用人要件が満たされると考えています。

「派遣」や「出向」という手段もありますが、適正化に向けてもっとも現実的なのは「雇用」。おそらく多くの代理店がそう考えているはずです。
しかしながら代理店側、募集人側双方にとって影響が大きいのではないでしょうか。代理店側から見ると募集人を雇用(労働者)とすることで、

1.最低賃金法の順守、社会保険料や労働保険料の負担、残業代の支払い、など人件費が増大する

2.労働時間や労働日を適正に管理しなければならない

3.就業規則や雇用契約書の作成、整備をしなければならない

4.賃金や人事の制度を構築する必要性がある

5.給与の計算や手続など煩雑な事務作業が増大する

など、頭を抱えてしまう経営上の問題が数多く発生します。
また、募集人側から見ますと

1.販売手数料の大部分を手にしてきたが、代理店のコストアップ分を報酬から差し引かれるかもしれない

2.今まで成績が良かった人からすると成果と賃金が直結せずモチベーションが下がるおそれがある

3.自由な時間で働けていたのに、制約が増える

4.成績が悪かったので雇用されるかどうかわかならい

などの不安を持つのではないでしょうか。

雇用した場合の諸問題

図3 雇用した場合の諸問題

我々社会保険労務士はこのような諸問題を抱えた代理店に対し、どういった支援ができるでしょうか?

 

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