マイナンバー制度導入に向けての準備

ここまで「マイナンバー制度の概要」「4つ安全管理措置」「マイナンバーの取得」について紹介してきました。
会社の規模に応じて対策や準備などは変わってくると思いますが、実際の準備にあたってはスケジュールや予算を決定し、チェックリストを活用しながら行うとスムーズでしょう。以下、例を挙げてご紹介します。

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スケジューリング


2016年(平成28年)1月より、実際にマイナンバーを利用した各種手続きが発生します。また2015年(平成27年)10月よりマイナンバーの付与が始まります。「安全管理措置」の準備や「マイナンバーの取得」に関して認識を深めていきましょう。

マイナンバー制度導入に向けてのスケジューリング

上図は7月より準備を始めた従業員50名ほどの会社の例です。まずはスケジュールを具体的に図にして、どこまでに何をしなければならないのか、を洗い出しましょう。以下、この例を参考にご紹介します。

 

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従業員への周知・教育


マイナンバー制度がどのような制度なのか、どういった場面で利用されるのか、といった従業員への教育が必要になります。制度への理解が不十分な場合、マイナンバー安全管理に問題が生じる場合があります。故意に漏えいさせたり、情報の安全管理を怠ると会社自体が刑罰の対象となり、経営責任を問われる可能性もあります。また報道等による社会的制裁で経営危機に晒される可能性もあります。従業員への周知徹底は非常に大切です。ぜひ怠らず取り組んでください。

また2015年(平成27年)10月5日現在の住民票に登録してある住所に、個人番号の記載した「通知カード」が簡易書留で郵送されます。単身赴任で住所が実家のままだったり、10月5日前後での転勤で住所が変更になった場合など、通知カードが受け取れない事態も想定されますので注意が必要です。外国人の方でも住民票があれば通知カードは郵送されてきますので、従業員全員(ご家族の方も含めて)が確実に「通知カード」を受け取れるよう社内メールの活用、掲示、給与明細への案内文同封等、周知徹底しておきましょう。

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対応担当者の選任、担当者への教育


個人番号を取扱う「事務取扱担当者」が誰なのか、その責任者たる「事務取扱責任者」が誰なのか、を決めなくてはなりません。万が一にも備え、組織体制を整えることが大切です。また「事務取扱担当者」を決めることによって、特定個人情報の取扱が一元化できるとともに、担当者以外の者が特定個人情報を取扱うリスクを排除することができます。なお、事務取扱担当者への教育(マイナンバーの取扱に関する留意事項、担当する業務の詳細手順、など)は「人的安全管理措置」の一つとして必須事項となっています。教育の後には確認テスト等を実施し、適切に制度運営ができるか終了確認するのが良いでしょう。

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業務の洗い出し


対応が必要な帳票等を整理し、現在、誰がどのような処理をしているのか、明確にしましょう。従業員関連業務に絞れば、入社や退社、育児休業時や復職時、労災給付の申請時などにマイナンバーが使用されることになるでしょう。また、顧問を依頼している税理士や社労士が個人の場合や、社用車の駐車場の支払先が個人である場合、マイナンバーが必要になります。社内でこれらの手続きを行っている者がどの部署で誰なのかを洗い出し、それらの書類がどういう流れで進んでいるのか、作成、受取、処理、送付等をフローチャートなどで洗い出し、整理するとよいでしょう。

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方針の決定・取扱規程の作成


トップメッセージとして、特定個人情報の取り扱いに関する基本方針を決定します。マイナンバー制度が今後の企業活動に対して広範囲に影響を及ぼすことから、まずは経営者としてその内容を理解し、全社的な対応を実施できるようにします。

従業員101人以上の会社においては、特定個人情報保護規程等のマイナンバーの取扱規程の作成が義務付けられています。100人以下の会社については義務付けはされていませんが、事務取扱担当者が別部署に異動したり、退職した際に現場で混乱をきたす可能性もあります。取扱規程やマニュアルを作成しておけば引継ぎも比較的スムーズに行われますので、ぜひ作成することをお勧めします。

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機材等の調達準備


インターネットを利用して業務を行っているところは多いと思います。社員の個人情報をパソコンで管理されている会社も多いことでしょう。これらの情報が不正アクセスやウィルス等で会社の外部に漏えいしないよう防止策をとらなくてはなりません。場合によってはルータの購入や、新たなパソコンの購入が必要になるでしょう。また、個人情報書類で管理でしている会社においても、権限のない者が勝手に閲覧できないよう施錠できるキャビネット等を準備する必要もあるでしょう。

また、特定個人情報を取り扱う際には「取扱区域」で行う必要があります。特定個人情報を周りの人に閲覧されないよう、事務を取扱う担当を別の部屋に移したり、事務取扱担当者が一人の場合は、その周りにパーテション等を組み立てたりする必要があります。会社の人員や資金規模によって対策が異なると思いますので、慎重に検討する必要があります。

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取引先との打ち合わせ


先に述べた、支払先が個人の場合のマイナンバー確認のほかにも、例えば教育用の研修資料の用意、取扱規程の作成を依頼する場合など、取引先との打ち合わせも必要になるでしょう。新たにパソコン等を購入し社内のネットワークを更新する場合には業者とのやり取りもスケジューリングしなくてはなりません。

また、税理士や社労士など税務や人事労務管理に関する事項を業務委託する場合には、特定個人情報に関する覚書や委託契約書の締結が必要になりますし、従業員の特定個人情報をどのように扱っていのか、万が一問題や不具合が生じた場合の連絡体制がとれているか、をしっかり確認する必要があります。

 

 

マイナちゃん

最後に…

以上、具体的なスケジュール例をあげて会社が準備しなければならないことを見てきました。会社の規模、社内体制によっては、これらの他にも確認事項はあり得るでしょう。まだ何も対策をしていない会社は、早速準備に取りかかりましょう。上記の2~7については、特にこの順番でなくても良いと思います。取りかかりやすい部分から順にやっていくのが効率的です。

マイナンバー制度の開始までわずかです。不明点はどんどん専門家に相談し、マイナンバー制度の導入準備をスムーズに行っていきましょう。

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