人事労務のアウトソーシングを通して会社の経営をサポートいたします!社会保険労務士事務所カルテット

セクハラ、パワハラ、マタハラそしてモラハラ、と、○○ハラという言葉が多く生み出され、何かと世間を騒がしている昨今。そして、自社においてそんな出来事が発生し、マスコミ等に取り上げられてしまったら、というのは少し大げさかもしれませんが、SNS等ネットへの書き込みや口コミですぐ情報が広まり、風評被害を受けてしまったら相当な損害になるでしょう。また、何より職場の環境悪化は社員のやる気を阻害し、業務の運営に影響を及ぼしかねません。このような事態に陥らないよう事前の対策を十分に施し、また発生した場合には素早く対応をし、快適な職場環境の保全を心掛けましょう。

このページでは職場における3つのハラスメントについて、その内容と対策を紹介したいと思います。

 

セクシャルハラスメントセクシュアルハラスメント


セクシュアルハラスメントとは…

セクシュアルハラスメント、いわゆる職場におけるセクハラについては、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」(通称:「男女雇用機会均等法」、以下「均等法」といいます)にその定義が示されています。

「職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されること」(男女雇用機会均等法第11条1項より)

  • 「職場」というのは実際に働いている場所に限りません。取引先や打ち合わせの為の飲食店など、就業場所の外であっても従業員が業務を遂行する場所であれば、その場所も含まれる、ということです。
  • セクハラには2つの種類があり、賃金を下げたり、解雇をしたり不利益な労働条件を課す「対価型」と、卑劣なポスターを張ったり、性的言動により職場環境を不快にさせる「環境型」があります。

世間一般の客観的な感じ方が判断の基準となりますが、被害者個人の感じ方によっても変わってきます。同じ行為であったとしても、相手によって感じ方に違いがあるというのも事実です。また近年は男性から女性に対するセクハラのみならず、女性から男性へのセクハラ、同性から同性へのセクハラという事案も増えてきました。

会社が講じなければならない措置とは…

職場におけるセクハラを防止するために、会社が雇用管理上講ずべき措置として、厚生労働大臣の指針10 項目が示されていますが、会社はこれらを必ず実施しなければなりません。職場におけるセクハラの防止の効果を高めるためには、発生の原因や背景について従業員の理解を深めることが重要です。セクハラの発生の原因や背景には、性別役割分担意識に基づく言動もあると考えられ、こうした言動をなくしていくことがセクハラの防止の効果を高める上で重要であることに留意しましょう。会社は、日頃から労働者の意識啓発など、周知徹底を図るとともに、相談しやすい相談窓口となっているかを点検するなど普段から職場環境に対するチェックを行い、特に、未然の防止対策を十分講じるようにしましょう。

事業主の方針の明確化及びその周知・啓発

  • 職場におけるセクハラの内容・セクハラがあってはならない旨の方針を明確化し、管理・監督者を含む従業員に周知・啓発すること。
  • セクハラ行為者については、懲戒処分等厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、管理・監督者を含む従業員に周知・啓発すること。

相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

  • 相談窓口をあらかじめ定めること。
  • 相談窓口担当者が、内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。また、広く相談に対応すること。

職場におけるセクハラに係る事後の迅速かつ適切な対応

  • 事実関係を迅速かつ正確に確認すること。
  • 事実確認ができた場合には、速やかに被害者に対する配慮の措置を適正に行うこと。
  • 事実確認ができた場合には、行為者に対する措置を適正に行うこと。
  • 再発防止に向けた措置を講ずること。(事実が確認できなかった場合も同様)

上記までの措置と併せて講ずべき措置

  • 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、従業員に周知すること。
  • 相談したこと、事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、従業員に周知・啓発すること。

(参考資料:厚生労働省「男女雇用機会均等法のあらまし」ほか)

平成26年の改正男女雇用機会均等法についてはこちら

 就業規則等、社内の服務規律に禁止事項として掲載しましょう。ポイント

職場のセクハラ問題は、個人間の問題と捉えて当事者同士での話し合いをもって解決を図ろうとしがちですが、実は会社全体の問題だと認識しなければ根本的な解決には至りません。なぜ、こういうことに至ったのか?何が問題だったのか?ということを会社として原因を究明し解決を図ること、そして再発防止策をとることが非常に大事です。安易に当事者間での解決を図ろうとするのではなく、上司や相談窓口の者が間に入り、客観的に事実をとらえ、調査結果によっては懲罰を課したり、加害者の異動を命じたり、と被害者を守る意識が大変重要になります。その上で今後セクハラが起こらないようにするにはどうすればよいのか、再発防止策をとりましょう。また、セクハラが生じないよう、就業規則等の社内服務規律には禁止事項として明示し、行為に至ったときには厳正な処罰を科すという明確な姿勢を示しておくことも予防策につながることでしょう。

就業規則に関する事項はこちら

パワーハラスメントパワーハラスメント


パワーハラスメント、いわゆるパワハラですが、セクハラとは違い、法律等による定義はありません。ただし、2012年、厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ」において、

「職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えるまたは職場環境を悪化させる行為」

という定義が提案されました。上司から部下に行われるものだけでなく、先輩・後輩間や同僚間、部下から上司に対して様々な優位性を背景に行われるものも含まれています。そしてパワハラはうつ病といったメンタルヘルス不調の原因になる可能性もあります。

パワハラの典型

厚生労働省は以下のものをパワハラの典型例として示しています。

  • 暴行・傷害(身体的な攻撃)
  • 脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)
  • 隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)
  • 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)
  • 業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)
  • 私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)

パワハラは、業務上の適正な指導との線引きが大変難しいことが多いです。暴力や脅迫、侮辱はパワハラと呼ぶに異論はないかと思いますが、仮に叱責だったとしても、それが「業務の適正な範囲」を超えるかは、会社の業種や文化の違い、世代間の相違もありますし、個人の捉え方によっても感じ方の差異など環境や状況によって異なります。また、行為が行われた状況や行為が継続的であるかどうかによっても、判断が左右される場合があるため、会社内部で認識をそろえ、その範囲を明確にする取組を行うことが望まれます。

 

ポイント退職勧奨はパワハラか?

市場の縮小や経済悪化のあおりを受けて、人員を削減しなければならない、つまり整理解雇をしなくては会社が倒産してしまう。そんなときに行われる「退職勧奨」ですが、これがパワハラにあたるのか?
「退職勧奨」自体は会社からの雇用契約解除の申込みなので、認められている行為です。しかしながら、威圧的に退職を促したり、意図的に業務を削減したり、たいして目新しい情報もないのに何度も何度も面接をする、その他従業員が明確に拒絶しているにも関わらず勧奨を繰り返す…このような行為はパワハラと認められる可能性があります。

 

マタニティハラスメントマタニティハラスメント


妊娠・出産に伴い、労働時間の制限や就業内容の変更を余儀なくされたり、産前産後休業もしくは育児休業を取得されると会社の運営上支障をきたすという理由で、退職勧奨や解雇、不当な異動や降格など、精神的・肉体的な嫌がらせを行う行為のことをマタニティハラスメント、通称「マタハラ」と呼んでいます。妊娠中にこのようなことが起こると母体に与える影響は甚大で、流産等にもつながりかねないため、男女雇用機会均等法、育児介護休業法などで禁じられています。

  • 男女雇用機会均等法第9条(抜粋)
★事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならない。
★事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
★妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。
  • 育児・介護休業法第10条
事業主は、労働者が育児休業申出をし、又は育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

 

ポイント産前産後・育児休業中の不利益取扱いの例

 
年次有給休暇の付与については、出勤率の要件がありますが、産前産後休暇や育児介護休暇の期間は出勤をしたものとみなし計算をします(労働基準法第39条)。
ところで、昇給や昇格の要件や、賞与の支給における考課項目に出勤率を取り入れている会社も多いと思いますが、この場合は欠勤扱いをしてもよいのでしょうか?答えは「NO」です。この場合も労働条件の不利益取扱いと見なされ、公序良俗違反として無効とされた判例があります。
また、妊娠中、産前産後・育児休業中の軽易業務への転換を契機とした降格も、①労働者の自由な意思によるもの、②業務上の必要な特段の理由がある場合を除き、均等法第9条違反として無効とされます。


職場におけるハラスメントは、従業員同士の互いの理解なしには解決しません。その為に必要なのは日頃のコミュニケーションとハラスメントに対する教育や啓発活動です。どういう事案がハラスメントにあたるのか?予防するためにはどうすればよいか?実際に起こってしまった場合どう対処すればよいのか?社会は相互扶助の関係で成り立っています。それは会社内部においても同じことではないでしょうか?
社会保険労務士事務所カルテットでは、ハラスメント対策における従業員・経営者向けのセミナーや相談窓口代行を承っております。福岡県内はもちろんのこと、南は鹿児島県に至るまで、九州各県対応できます。

お問い合わせ

ハラスメント対策に関するお問い合わせは
こちらから